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相続発生順により相続税額が変わる?

2016.10.01

1.父親と母親の相続発生順次第で、納付する税額が変わるかも!?

父親(甲)が資産家で、母親(乙)とお子様が二人(A、B)いたとします。

父甲は多額の資産を持っていますが、母乙は資産を持っていないものとします。

【ケース1】父親が先に死亡

父親が死亡した場合、父親の財産は遺産分割により母乙及び子A、Bが相続する事となります。その後、母乙が死亡すると母親の財産は遺産分割により子A、B相続する事となります。つまり父甲の財産は、一部が一旦母乙を経由して、最終的に子A、Bが取得する事となります。

【ケース2】母親が先に死亡

では、逆に母親が先に死亡した場合はどうなるでしょう?

母親が死亡した時、母乙は相続財産を基本的に持っていません。なので何も起こりません。その後、父甲が死亡すると父の財産は直接、子A、Bに相続されることとなります。

いずれのケースも父甲の財産は最終的に子A、Bに移転します。

しかし【ケース1】と【ケース2】では、納付する相続税額が変わってくる事があるのです。

2.具体例

前提条件:父甲の財産 1億5000万円

母乙の財産 0円

子供2人(A、B)

【ケース1】『父甲が先に死亡(一次相続=1回目の相続)』

母乙が財産の半分7500万円を相続

子A、Bが各3750万円ずつ(合計7500万円)を相続

『その後、母乙が死亡(二次相続=2回目の相続)』

子A、Bが各3750万円ずつ(合計7500万円)を相続

この場合の相続税の納付額は、2回合計で1,143万円となります。

 

【ケース2】『母乙が先に死亡(一次相続=1回目の相続)』

母乙は財産0円。

『その後、父甲が死亡(二次相続=2回目の相続)』

子A、Bが各7,500万円ずつ(合計1億5000万円)を相続

この場合の相続税納付額は、2回合計で1,840万円となります。

 

父親が先に死亡した場合の相続税は1,143万円で済みますが、母親が先に死亡すると1,840万円の相続税が発生します。その差は697万円にもなります。

なぜこのような事が起こるのか?これは次の二つの要因によります。

①【ケース1】では「配偶者の非課税規定※1が使えたが【ケース2】では未使用。

②【ケース1】では「基礎控除額※2が2回使えたが【ケース2】では1回のみ。

(本当は、「超過累進税率」も関係しますが、ややこしいので割愛します)

1「配偶者の非課税規定」=遺産総額の半分、又は1億6000万円までは非課税。

2「基礎控除額」=(3000万円+600万円×法定相続人の数)までは非課税。

 

3.結論・対策

結論といたしましては、両親の内どちらか一方のみに財産が偏っている場合には、相続発生順によって、相続税額が変わってくるという事です。言い方を変えると両親の財産額を平準化しておけば、リスクは回避できるという事です。

両親の財産額を平準化するやり方としては、次の方法が考えられます。

①生前贈与

生前に父(母)から母(父)に財産を贈与する。年間110万円までは、非課税。

②配偶者への自宅の贈与

父(母)から母(父)に自宅を贈与する。20年以上婚姻関係がある夫婦間での自宅の贈与については、2,000万円まで非課税。

③法人を利用

不動産(収益物件)を法人化して、母(父)を役員にして役員報酬を出す。

以上、少し難しい話ではありましたが、やはり相続対策は生前に始めるのが重要という事です。

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筆者紹介

山方 越志
税理士法人 田崎・太田事務所
税理士

私は、これまで相続税の申告に30件以上携わらせて頂いています。相続対策も含めますと少なくとも100件以上にはなるかと思います。税理士事務所において、相続税の申告は通常1年に1回あるかないかと言われる状況から鑑みますと、かなりの件数をこなしているものと自負しております。 「相続対策」と聞くと節税対策を連想する方が多いのではないでしょうか? 実際、対策を打つことで相続税額が大幅に減少するケースは多数あります。しかし相続税を支払うのは財産を持っているご本人様ではなくその相続人様です。この考えから、財産をお持ちの方の中には「自分が死んだ後の財産や相続税には興味がない。」といった方も多いように見受けられます。 しかし私は本来の「相続対策」とは、ご本人様の為にこそ必要と考えております。「相続」という言葉の意味は、「次々と続いていくこと。」だそうです。その人が亡くなった後も、その人が生きてきた事実はいろいろな形で周りの人に受け継がれ生き続けるのだと思います。それは目に見えるものもあれば、目に見えないものもあるでしょう。その中で「相続財産」とは、その人が引継ぎ守り築いてきた、目に見える人生の証です。 節税のアドバイスは当然のこととして、何よりも「その人の大切な物が大切な人に引き継がれていくことのお手伝い」をモットーに業務に携わらせて頂いております。

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