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そろそろ「ダイレクト納付(電子納付)」を検討してみませんか?

2022.09.01

はじめに

今回は、税金の電子納付方法の1つである「ダイレクト納付」のお話をします。
パソコンやスマホのお話です。この時点で、拒否感を持たれる方も多いと思います。今回のお話は、「ダイレクト納付を始めよう!」という話ではありません。
「知らないから、やらない。別に困ってないし。」から「知っているけど、やらない。気が向いたらやるし。」にランクアップすることで、選択肢を増やして生活を豊かにしようというお話です。

1、ダイレクト納付とは?
電子納付とは、税金支払いする際に紙の納付書をもって金融機関等に直接出向くことなく、自宅のパソコンやスマホから直接決済を行う納税方法です。

電子納付と呼ばれる納税方法は以下3つの方法が存在します。
①「ダイレクト納付」
②「登録方式」
③「入力方式」

①「ダイレクト納付」は、事前登録した金融機関の口座から指定日に税金を引き落とす方法です。
②及び③は基本的にインターネットバンキング利用者であることが前提になります。(インターネットバンキング利用者以外は、ATMでの支払いになります。)
今回は、インターネットバンキング利用者以外でも、手数料なしでパソコン操作により金融機関口座から引き落としができる①「ダイレクト納付」についてご説明します。

ところで、読者の中には「私は特にパソコン操作していないけれど、税金は銀行から直接引落されている。」という方も結構いると思います。
実は、「(法人ではなく)個人で確定申告をしていて、給与の支払いがない人」については、パソコン操作なしに銀行から直接税金を引き落としてくれる「振替納税」という制度が既に存在します。この場合は、わざわざパソコン操作が必要な「ダイレクト納付」を選択する意味はありません。(「振替納税」を選択する場合は、税務署に事前届け出が必要です。)「ダイレクト納付」を選択するメリットがある人は、「法人」または「個人で確定申告をしていて、かつ給与の支払いがある人」です。
法人は、国税・県税・市税を納付する必要があります。
また「法人」「個人」にかかわらず給与を支払っている人は、「源泉所得税(国税)」「源泉住民税(特別納付)」を原則として毎月納付する必要があります。法人及び源泉税については「振替納税(銀行自動引落)」の制度はありません。金融機関に直接出向かずに納付をするためには「ダイレクト納付(電子納付)」を選択することになります。

まとめると次の通りです。
①個人で確定申告をしていて、給与支払いがない人
⇒「振替納税」を選択 パソコン操作なしに「銀行自動引落」(事前届必要)
②法人、又は個人で確定申告をしていて給与支払いがある人
⇒「ダイレクト納付」を選択 パソコン操作による「銀行引落」(事前届必要)
注)国税に関しては、上記以外にもほぼ全ての税目(相続税、贈与税含む。)で「ダイレクト納付」可能です。

2、ダイレクト納付の現状
「ダイレクト納付」の最大の特徴は、その手軽さです。パソコンから電子納付手続きを行うのですが、基本的に「利用者識別番号(利用者ID)」と「パスワード」さえあれば可能です。その際に「電子認証」の必要がいりません。(最初の登録時には、一度電子認証等による本人確認が必要です。

「電子認証」とは、インターネット上で本人を特定する方法で、通常は「マイナンバーカード」などを「カードリーダー」という機器に読み込ませて、本人確認を行います。この場合、「マイナンバーカード」そのものが、ネット上の印鑑の役割を果たします。
「ダイレクト納付」については、「電子認証」の必要がないので手軽に納付手続きが可能となります。
日本では、税金の申告自体をパソコンで行う「電子申告」は法人を中心に増加しています。しかし実際の税金の納付について、電子納付の利用割合は低迷しています。

電子申告・電子納付の近年における最大のメリットは、税務署や銀行に直接出向かなくて済むという事です。
コロナ発生後、非対面という事が一つのキーワードです。
申告は電子申告なのに納付は直接納付では、せっかくの技術も片手落ちです。
今後は、電子納付の件数も増加していく事が予想されます。

令和3年度電子申告利用率: 法人税⇒87.9%、所得税⇒59.2%、相続税⇒23.4%
令和3年度キャッシュレス納付割合:32.2%


3、ダイレクト納付の始め方
ダイレクト納付の手順は次の通りです。

①電子申告の開始手続きをする(国税⇒e-Tax、地方税⇒eLTAXの二つの登録が必要)
②「ダイレクト納付」開始の依頼書を郵送する(国税用、地方税用)⇒事前準備完了
③納付の都度、パソコン(スマホ)で納付手続きをする⇒指定日に銀行引落し
基本的に以上です。

①に関しては電子申告をすでに行っているなら完了済みです。電子申告を開始していない場合は、国税、地方税についてログインIDを取得する必要があります。

国税用⇒「e-Tax」:「利用者識別番号(ログインID)」及び「パスワード」を取得
地方税⇒「eLTAX」:「利用者ID(ログインID)」及び「パスワード」を取得

次に②の依頼書については、書面で決済される銀行を指定して銀行印を押印したうえで税務署等へ郵送します。(尚、ダイレクト納付に対応していない金融機関もありますのでご注意ください。)国税に関しては、「国税ダイレクト納税方式電子納税依頼書」を作成して銀行印押印後、税務署に郵送します。(個人についてはオンライン提出も可能。)地方税については、まず「」にログインして金融機関の仮登録を行います。仮登録後に「ダイレクト納付依頼書」を打ち出して、これに銀行印を押印して郵送します。提出から、実際に「ダイレクト納付」が可能になるまで約1ヵ月かかります。

これで、ダイレクト納付の準備は完了です。①②については電子申告対応の税理士であれば基本的に対応できます。(税理士に依頼する場合は、特にマイナンバーカードを提示する必要ありません。)ご自身でされる場合は、下記に関連リンクを張っておきますので、そちらをご参照ください。

次に②の依頼書については、書面で決済される銀行を指定して銀行印を押印したうえで税務署等へ郵送します。(尚、ダイレクト納付に対応していない金融機関もありますのでご注意ください)

国税に関しては、「国税ダイレクト納税方式電子納税依頼書」を作成して銀行印押印後、税務署に郵送します。
(個人についてはオンライン提出も可能。)

地方税については、まず「eLTAX」にログインして金融機関の仮登録を行います。
仮登録後に「ダイレクト納付依頼書」を打ち出して、これに銀行印を押印して郵送します。提出から、実際に「ダイレクト納付」が可能になるまで約1ヵ月かかります。
これで、ダイレクト納付の準備は完了です。
①②については電子申告対応の税理士であれば基本的に対応できます。(税理士に依頼する場合は、特にマイナンバーカードを提示する必要ありません。)ご自身でされる場合は、下記に関連リンクを張っておきますので、そちらをご参照ください。


最後に③の納付方法ですが、納付のたびにパソコンで「e-Tax」「eLTAX」にログインして納税手続きをすることになります。納税手続きは「納税情報登録」と「納付実行」の2ステップに分かれます。いずれもパソコンでの操作となりますが、自分でやるパターンと税理士に依頼するパターンに分かれます。
税理士に依頼するパターンは、事務所ごとに異なりますが、基本的に税理士報酬が発生することになると思います。


4、まとめ
はじめに書いた通り、「ダイレクト納付を始めましょう」という話ではありません。とりあえず、将来に備えて選択肢を増やしておきましょうというだけです。

「ダイレクト納付」の最大のネックは、依頼書を提出してから実際の開始まで1か月の期間を要することです。とりあえず、この機会に「ダイレクト納付」の依頼書だけでも出しておくという方法もあります。依頼書を出したからと言って、従来の納付書による金融機機関での納付ができなくなるわけではありません。ダイレクト納付がいつでも開始できる状態にしておいて、気が向いたところで「ダイレクト納付」にチャレンジしてみるくらいでもいいのかもしれません。
 

【国税用】
【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス) (nta.go.jp)
[手続名]ダイレクト納付の手続|国税庁 (nta.go.jp)
 

【地方税用】
eLTAXのご案内|eLTAX 地方税ポータルシステム
納税の手順 | eLTAX 地方税ポータルシステム




 

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筆者紹介

山方越志税理士事務所 
山方越志

初めまして。税理士の山方と申します。
私は、これまで相続税の申告に50件近く携わらせ頂いてます。 相続対策も含めますと少なくとも100件以上にはなるかと思います。これは、税理士としても相当な案件数と自負しているところです。
相続実務においては、相続税の知識はもちろんの事、周辺税法・民法・社会保険料及び不動産といった様々な知識からの多角的な検討が必要となります。
その中でも、とりわけ重要なのはご家族皆さんのお気持ちの部分だと、仕事のたびいつも痛感させられます。

節税のアドバイスは当然のこととして、何よりも「その人の大切な物が大切な人に引き継がれていくことのお手伝い」をモットーに業務に携わらせて頂いております。

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